しっかり結んだはずなのに、気づくと靴紐がほどけている。急いでいるときや荷物が多いときほど、しゃがんで結び直すのはわずらわしいものです。
じつは靴紐がほどけるのは、結ぶ力が足りないからではありません。原因は結び目の「構造」にあります。だからこそ、力いっぱい締めても、二重に固結びしても解決しないのです。
この記事では、ほどけないと人気の結び方5つの手順を順番に解説します。
- 靴紐がほどけやすくなる結び目の向きと直し方
- ほどけにくい結び方5種類の手順と特徴
- 靴や場面に合った結び方の選び方
- 結んでもほどける場合の原因と対処法
- 靴紐の素材・形状・長さを見直すポイント
まだ自分で結ぶのが難しい年齢の子どもには、結ばない靴ひもを使うという選択肢もあり、クラスや園でまとめて用意する場面もあります。ワッツのまとめ買いサイトでは、店舗をまわらずに必要な数量をまとめて注文できます。
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まず確認:靴紐がほどけるのは「結び目の向き」が原因かもしれない
新しい結び方を覚える前に、確認してほしいことがあります。それは、いまの蝶結びの「結び目の向き」です。
蝶結びは、最初のひと結びと、最後に輪をくぐらせる動作の2段階でできています。この2つの向きが同じになってしまうと、結び目は靴のつま先からかかとに向かって縦向きに立った状態になります。この状態は、歩くたびに結び目をほどく方向に力を受けるため、どれだけ強く締めても緩んでいきます。
反対に、2つの向きを互いちがいにすると、結び目は靴の幅方向に横向きに寝ます。同じ蝶結びでも、この違いだけでほどけにくさは大きく変わります。
結び目が「縦向き」なら、どんなに強く結んでもほどけやすい
まず、いつもどおりに靴紐を蝶結びしてください。そのまま、結び目を真上から見おろします。
結び目と左右の輪のならびが、靴のつま先からかかとに向かう方向(縦)に立っているなら、ほどけやすい状態です。靴の幅方向(横)に寝ているなら、すでに安定した状態になっています。
「毎回ほどける」「特に理由もないのにほどける頻度が高い」という場合は、結び目が縦向きになっていないか確認してみてください。
片足だけよくほどける場合もここが原因
左右で結ぶ手の動きが微妙にちがうと、片方だけ縦向きになることがあります。「なぜか右足だけよくほどける」という心当たりがある方は、両足の結び目を見くらべてみてください。向きがちがっていれば、それが原因です。
直し方は「蝶結びの輪を回す向きを逆にする」だけ
直し方はとても簡単で、最後のひと回しの向きを反対にするだけです。
最初のひと結びで右の紐を上にして交差させたなら、蝶結びのときは逆側から輪をくぐらせます。手順そのものは変えず、向きだけを反転させます。
結び直したら、もう一度真上から結び目を見てください。横向きに寝ていれば成功です。
どちらの向きを変えても結果は同じ
最初のひと結びのほうを逆にしても、結果は同じように横向きになります。やりやすいほうを変えてください。慣れないうちは手が勝手にいつもの動きをしてしまうので、鏡を見ながらゆっくり結ぶと確実です。
これで直らない場合は、結び方そのものを変える
結び目の向きを直しても、走る、長時間歩く、重い荷物を背負うといった負荷の大きい場面ではほどけることがあります。その場合は、下記に紹介する結び方のどれかを覚えることをおすすめします。
結び方①二重巻き|いつもの蝶結びにひと巻き足すだけ
5つのなかで、もっとも覚える負担が軽い結び方です。新しい動作を身につけるのではなく、蝶結びの途中に「輪へ2周巻きつける」という動作を1つ足すだけで済みます。
すでにできる蝶結びを土台にしているため、途中で手が止まりにくいのが利点です。ほどくときも蝶結びと同じ感覚で紐の端を引けば解けます。革靴に結んでも結び目が目立たないので、通勤やふだん履きの第一候補になります。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 難易度 | ★☆☆☆☆ |
①右の紐が上になるように一度結ぶ
左右の紐を交差させ、右の紐が上になるようにして一度だけ結びます。ここまでは通常の蝶結びとまったく同じです。
この先の説明はすべて「右が上」を前提に進みます。左利きの方など、いつも左が上になる場合は、以降の左右を入れかえて読んでください。
②片方の紐で輪を1つ作る
蝶結びと同じ要領で、片方の紐だけを使って輪を1つ作ります。もう片方の紐はまだ動かしません。
この輪が、次の工程で巻きつけられる側になります。輪の大きさは、ふだんの蝶結びと同じで構いません。
③作った輪に、もう片方の紐を下から上へ2周巻きつける
ここがこの結び方の要になる動作です。通常の蝶結びなら1周のところを、2周にします。巻く向きは下から上です。
巻き終わったら、輪の付け根を確認してください。紐が二重に巻きついて見えていれば正しい状態です。
④2周巻いた紐も輪にして、二重の輪の中へ通す
巻きつけた側の紐も、蝶結びと同じように輪にします。その輪を、③でできた二重巻きの輪の中へ通します。
正しい状態は、左右どちらの輪も、真ん中の二重の輪を通っている状態です。片方だけ通してしまう失敗がもっとも多いので、ここは必ず確認してください。
⑤左右の輪を同時に引いて締める
左右の輪を、同時に均等に引きます。片方だけを強く引くと結び目が片側に寄り、見た目が崩れるだけでなくほどけやすくもなります。
しっかり締まったら完成です。ほどくときは、通常の蝶結びと同じように紐の端を引いてください。固結びにはなりません。
なぜ二重巻きだとほどけないのか
巻きが1周増えることで、紐どうしが触れあう面積が増え、摩擦が大きくなります。その結果、歩いたときの衝撃で結び目が緩む段階そのものが起こりにくくなります。
強く締めて押さえこむのではなく、緩みにくい構造にするという考え方です。締め付けを強くする必要がないため、足が痛くなりにくいのも利点といえます。
よくある失敗と直し方
| 症状 | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| ほどけ方が今までと変わらない | 巻きが1周のままになっている | ③に戻り、2周巻けているか確認する |
| 結び目の形がいびつになる | 左右どちらかの輪だけを通している | ④に戻り、左右両方の輪が通っているか確認する |
| 締めたあと左右の輪の大きさがちがう | 片方だけを引いて締めている | ⑤に戻り、両手で同時に引く |
結び方②イアン・ノット|慣れれば最速、ほどくのも一瞬
左右の輪を同時に作り、互いに通しあう結び方です。慣れると5つのなかでもっとも速く結べ、ほどくときも紐の端を引くだけで一瞬で解けます。
素早く結べる方法として知られており、毎日靴紐を結ぶ方ほど恩恵が大きい方法です。ただし両手が同時に動くため、最初は動きがつかみにくい面があります。工程を1つずつ確認しながらゆっくり進めてください。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 難易度 | ★★★☆☆ |
①まずは一度ふつうに結ぶ
左右の紐を交差させ、右が上になるように一度結びます。ここは二重巻きと同じ起点です。
②左右それぞれで輪を作る
ここが通常の蝶結びと決定的にちがう点です。片方ずつではなく、左右同時に輪を作り、それぞれを両手で持ちます。
このとき、どちらの輪も紐の右側が上に出る形にそろえてください。
③右の輪を、左の輪の上に重ねて通す
右手に持った輪を、左手の輪の上から向こう側へ通します。この時点ではまだ引き締めません。
ここでも「右が上」です。
④同時に、左の輪も右の輪に通す
この工程がいちばんの山場です。③の状態を保ったまま、左の輪も右の輪の中を通します。左右の輪が互いを通しあった状態になります。
指の動きが複雑なので、
⑤左右に引いて完成
左右の輪を同時に引くと、結び目が中央でぎゅっと締まります。
完成した見た目は、通常の蝶結びとほとんど変わりません。見た目は変わらないのにほどけない、というのがこの結び方の特徴です。ほどくときは紐の端を引くだけで解けます。
覚え方のコツ:すべて「右」でそろえる
最初のひと結びで右が上。輪を作るときも右側が上。通すのも右の輪から。 すべて「右」とだけ覚えておけば、手順を丸暗記する必要はありません。
手順を順番どおりに暗記しようとすると、翌日にはあやふやになります。「右でそろえる」というルールとして理解しておけば、自分で組み立て直せるようになります。
なぜイアン・ノットだとほどけないのか
左右の輪が互いを通しあっているため、結び目が左右対称になります。
通常の蝶結びは構造が左右非対称で、片側に力が集中しやすく、そこから緩んで抜けていきます。対称な結び目は、片側を引かれても均等に締まる方向に力が働くため、一方向に抜けにくくなるのです。
結び方③イアン・セキュア・ノット|5つのなかでもっとも強い
イアン・ノットの強化版にあたる結び方です。左右の輪を交差させたうえで、中央にもう一度通すことでロックをかけます。
走る、跳ぶ、急に止まるといった負荷の大きい動きでも緩みにくく、途中で結び直せない登山や試合に向いています。手順は7つと多く、5つのなかで習得の難易度はもっとも高めです。そのかわり、ほどくときは紐の端を引けばよく、固結びにはなりません。
イアン・ノットとのちがいは、輪を中央にもう一度通す工程が加わる点です。 この2工程が増えることで、ほどけにくさが大きく上がります。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 難易度 | ★★★★☆ |
①まずは一度ふつうに結ぶ
右が上になるように一度結びます。イアン・ノットと同じ起点です。
②左右それぞれで輪を作る
左右同時に輪を作り、両手で持ちます。ここもイアン・ノットと同じです。
③左右の輪を交差させる
作った2つの輪を交差させます。ここでも右が上です。
イアン・ノットではこのあとすぐ通しあいますが、この結び方ではここから2つの工程が加わります。
④奥の輪を、手前へぐるりと回す
交差させた状態のまま、奥側にある輪を手前へ回りこませます。
輪をひねるのではなく、輪ごと大きく回すイメージです。
⑤手前の輪を、奥へぐるりと回す
④と対になる動作です。手前の輪を奥へ回します。
この2つの工程によって、輪どうしが二重に絡んだ状態ができあがります。
⑥両方の輪を中央の穴に通す
④⑤でできた中央の穴に、左右の輪を両方とも通します。
片方だけ通してしまう失敗がもっとも多い工程です。通したあとに、左右どちらの輪も中央を通っているか必ず確認してください。
⑦左右に引いて完成
左右の輪を同時に、均等に引きます。
完成すると結び目はやや大きく厚みのある形になります。そのぶんロックが強く効いています。ほどくときは輪ではなく紐の端を引くと解けます。
なぜ5つのなかでもっとも強いのか
イアン・ノットが持つ「左右対称で抜けにくい」という性質に加えて、輪を中央へもう一度通すことで、緩んだあとに紐が抜けていく段階そのものが二重にロックされます。
衝撃で多少緩んでも、抜けきる手前で止まるため、結果としてほどけません。走る・跳ぶといった動きが多い場面ほど、この差が効いてきます。
結び方④ベルルッティ結び|強く、そして結び目が美しい
フランスの高級紳士靴ブランドの名前がついた結び方です。最初のひと結びと最後の蝶結びを、それぞれ2回ずつ行うことで、強度と見た目の美しさを両立させます。
結び目が左右対称に整うため、革靴やドレスシューズによく合います。ほどけにくさを重視したいときの候補になります。
この結び方は解説記事によって説明が食いちがいやすく、特に「中央の穴」がどこを指すのかが分からず挫折する方が少なくありません。ここでは、その「中央の穴」がどこを指すのかを言葉で明確にします。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 難易度 | ★★★☆☆ |
①一度結ぶ……と見せかけて、もう1回くぐらせる
通常なら1回で終わるひと結びを、引き締める前にもう一度くぐらせます。これで結び目の土台が二重になります。
1回目を通したあと、引き締める前にもう一度同じようにくぐらせてください。
②引き締めて土台を作る
二重にくぐらせた状態で、しっかり引き締めます。
この土台が緩んでいると、最後まで結んでも全体が緩みます。ここはやや強めに締めて構いません。
③通常どおり蝶結びの形を作る
ここからは普通の蝶結びと同じです。片方の紐で輪を作り、もう片方をくぐらせて蝶結びの形にします。
ただし、まだ引き締めません。
④輪にくぐらせたほうを、もう1回中央に回し入れる
この工程がベルルッティ結びのポイントです。
ここでいう「中央の穴」とは、蝶結びの結び目の中央にできる隙間のことです。この隙間に、輪をくぐらせた側の紐をもう一度回し入れます。
⑤引き締めて形を整えたら完成
左右を均等に引き、輪の大きさをそろえて形を整えます。
完成すると、結び目は左右対称で厚みのある形になります。革靴の甲の上で存在感があり、足元の印象が整います。
覚え方のコツ:最初と最後を2回ずつ
最初のひと結びを2回。最後の回し入れを2回。 つまり、ふつうの蝶結びの前と後ろに、それぞれ1回ずつ動作を足しているだけです。
手順を全部覚えようとすると複雑に感じますが、構造としてはこれだけです。慣れれば手が勝手に動くようになります。
なぜベルルッティ結びだとほどけないのか
土台のひと結びを二重にすることで紐どうしの摩擦が増え、緩みにくくなります。さらに最後の回し入れによって結び目にロックがかかります。
つまり、緩む段階と抜ける段階の両方に対策が効いています。強度と見た目を両立できる理由はここにあります。
結び方⑤輪のかた結び|子どもでもできる、いちばん簡単な方法
蝶結びをしたあと、できた左右の輪どうしをかた結びするだけの方法です。工程がもっとも少なく、手指の力が弱い子どもでも自分で実行できます。
「かた結び」と聞くとほどけなくなりそうですが、結んでいるのは紐の端ではなく輪です。ほどくときは輪を引くだけでするりと解けます。運動会や遠足など、絶対にほどけてほしくないけれど子ども自身に結ばせたい場面に向いています。
災害時に靴紐がほどけにくいよう工夫する方法は、公的機関の防災情報でも紹介されています。
※参照:靴ひものほどけない結び方|警視庁
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 難易度 | ★☆☆☆☆ |
①いつもどおり蝶結びをする
特別な結び方は必要ありません。ふだんの蝶結びで大丈夫です。
このとき結び目が横向きになっていれば、さらにほどけにくくなります。
②できた左右の輪をつかんで、輪どうしでかた結びする
ここが唯一のポイントです。紐の端ではなく、輪そのものを2本の紐に見立ててかた結びします。結ぶのは1回だけで構いません。
紐の端で結んでしまうと本当の固結びになり、ほどけなくなります。つかむのは必ず輪のほうです。
③しっかり引き締めたら完成
結び目が緩いままでは意味がないので、しっかり締めてください。
完成すると輪が小さくなり、垂れ下がる紐の長さも短くなります。紐を踏んで転ぶリスクが下がるという効果もあります。
ほどき方:輪を引くとするりと解ける
見た目は固結びのようですが、輪でかた結びしているだけなので、左右の輪を引けば簡単に解けます。
固く結ぶとほどけなくなるのでは、という心配は不要です。子どもが自分でほどけるため、外出先で靴を脱ぐ場面でも困りません。
ほどけない結び方5つを比較|自分に合う1つを選ぶ
ここまで紹介した結び方は、二重巻き、イアン・ノット、イアン・セキュア・ノット、ベルルッティ結び、輪のかた結びの5つです。

すべてを覚える必要はありません。自分の靴や生活の場面に合うものを1つ選んで、それだけを身につければ十分です。
5つの結び方を6項目で比べる
ほどけにくさだけでなく、「ほどきやすさ」も入れて比較したものが下記です。固く結べばほどけなくなりますが、それでは脱ぐときに苦労するためです。

| 結び方 | ほどけにくさ | ほどきやすさ | 覚えやすさ | 結ぶ速さ | 向いている靴・場面 |
|---|---|---|---|---|---|
| 二重巻き | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★★★★ | ふつう | 革靴・通勤・ふだん履き |
| イアン・ノット | ★★★☆☆ | ★★★★★ | ★★★☆☆ | 最速 | 毎日結ぶ人・スニーカー |
| イアン・セキュア・ノット | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ | おそい | ランニング・登山・試合 |
| ベルルッティ結び | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | おそい | 革靴・見た目を重視したいとき |
| 輪の固結び | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★★★ | はやい | 子どもの靴・応急的な対応 |
迷ったら「二重巻き」から試してください。 いつもの蝶結びにひと巻き足すだけなので、覚え直す部分がもっとも少なくて済みます。
※表の評価は、特定の条件で独自に歩行テストした結果ではなく、各結び方の構造や一般的な特徴をもとにした目安です。実際のほどけにくさ・ほどきやすさは、靴紐の素材や太さ、結び方、歩き方などによって異なります。
「ほどけにくい」と「ほどきにくい」は別物
多くの方が試しているのが「蝶結びの上からもう一度かた結びする」という方法です。たしかにほどけにくくはなりますが、脱ぐときに爪で解く羽目になります。これは「ほどけにくいけれど、ほどきにくい」状態です。
荷物を持ったまま片手でほどけるか
買い物袋を持っているとき、ベビーカーを押しているとき、子どもの手を引いているとき。こうした場面では、両手が使えないことがほとんどです。
5つの結び方はいずれも、紐の端を引くだけでほどけます。片手でも対応できるため、荷物が多い日でも困りません。二重の固結びだけは両手と時間が必要になります。
靴・場面別のおすすめ早見表
| 靴・場面 | まずこれ | 理由 | 次の候補 |
|---|---|---|---|
| 通勤の革靴 | 二重巻き | 結び目が目立たず、ほどくのも簡単 | ベルルッティ結び |
| ドレスシューズ | ベルルッティ結び | 結び目が左右対称に整って美しい | 二重巻き |
| 毎日のスニーカー | イアン・ノット | 慣れれば最速、ほどくのも一瞬 | 二重巻き |
| ランニング | イアン・セキュア・ノット | 走行中の振動にもっとも強い | イアン・ノット |
| 登山・長時間の歩行 | イアン・セキュア・ノット | 途中で結び直せない状況に強い | ベルルッティ結び |
| 球技・部活動 | イアン・セキュア・ノット | 急停止や方向転換の負荷が大きい | ベルルッティ結び |
| 子どもの運動靴 | 輪の固結び | 手順がもっとも少なく、子ども自身でできる | 二重巻き |
| 荷物が多い日 | イアン・ノット | 結ぶのもほどくのもいちばんはやい | 二重巻き |
子どもの運動靴だけは、選ぶ基準がほかとちがいます。大人にとっての難易度ではなく、手指の力が弱くても実行できるか、覚えたことを翌日も再現できるかで選んでいます。
結んだのにほどける・うまくいかないときの対処法
手順どおりに結んだのにうまくいかない。そんなときは、症状から原因をたどると解決が早くなります。
下の表から、自分に当てはまる症状を探してください。それぞれの詳しい説明は、表の下に続けています。
| 症状 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 結んだ直後はよいが、数十分でほどける | 結び目が縦向きに立っている | 蝶結びの輪を回す向きを逆にする |
| 締めたときに左右の形が崩れる | 片方の紐だけを引いて締めている | 左右の輪を同時に、均等に引く |
| きつく縛ったのに緩む | 結ぶ前の締め方が甘い | かかとを合わせてから締め直す |
| ほどくときに固結びになる | 輪ではなく紐の端を巻きこんでいる | 該当する手順を確認し直す |
| どの結び方でもほどける | 紐の素材や形状が滑りやすい | 紐そのものを見直す |
| 紐が余って結び目が重い | 靴に対して紐が長い | 靴穴の数に合った長さに替える |
数十分でほどける場合|結び目の向きを直す
もっとも多いパターンです。結び方を変えたのにほどけるという場合、土台になっているひと結びと蝶結びの向きが同じ方向になっている可能性があります。
左右の形が崩れる場合|同時に、均等に引く
締めるときに片方の輪だけを強く引くと、結び目が片側に寄ります。
見た目が崩れるだけでなく、力が片側に集中するためほどけやすくもなります。両手で同時に、同じ強さで引いてください。
きつく縛ったのに緩む場合|締め方を見直す
結び目ではなく、靴全体の締め方に原因があるケースです。
結ぶ前の時点で足と靴のあいだに余裕が残っていると、歩いているうちにその余裕が動きに変わり、結び目を引っぱります。
ほどく時にかた結びになる場合|輪と端を取りちがえている
この記事で紹介した5つの結び方は、いずれもかた結びにはならない構造です。
それでも解けなくなる場合は、輪ではなく紐の端を巻きこんでいる可能性が高いといえます。
どの結び方でもほどける場合|紐そのものを疑う
2〜3種類の結び方を試してもほどけるなら、結び方ではなく紐そのものに原因がある可能性が高くなります。
表面がなめらかな丸紐は摩擦が小さく、どんな結び方をしても滑りやすいためです。
結ぶ前の「締め方」を変えるだけでもほどけにくくなる
ここまでは結び目の話でしたが、じつは靴を履くときの締め方も、ほどけやすさに関わっています。
足と靴のあいだに余裕が残ったまま結ぶと、歩いているうちにその余裕が足の動きに変わり、結び目を少しずつ引っぱります。正しい順序で締めておけば、結び目をぎゅうぎゅうに縛らなくても靴はぴったり合い、結果としてほどけにくくなります。
「強く結べば解決する」という自己流が効かない理由も、ここにあります。問題は結ぶ力ではなく、結ぶ前の状態なのです。
①紐をいったん全部ゆるめる
上から順に締めていくために、まず全体を緩めます。
この工程を飛ばすと、足首側だけが締まって足の中央が緩いという状態になりがちです。毎回やる必要はなく、フィット感が悪いと感じたときにやり直せば十分です。
②かかとを合わせる(つま先を上げてトントン)
足を入れたらつま先を上げ、かかとを地面に2〜3回トントンと打ちつけます。
これで足のかかとが靴のかかとにぴったり収まり、このあとの締め付けが正しい位置で効くようになります。この工程だけでも、靴のなかでの足の遊びは大きく減ります。
③土踏まず側から甲にかけて順に締める
つま先を上げたまま、下の穴から順に締めていきます。
意識するのは、隙間ができやすい土踏まず側と、その反対の甲の部分です。ここが均等に締まっていると、一部だけに力が集中せず、歩いても緩みにくくなります。
④最後の穴はつま先方向に引いてかかとをロックする
最上段の紐は、上ではなくつま先の方向に引くように締めます。こうするとかかとが後ろに固定されます。
ここまでできていれば、仕上げの結び目を強く縛る必要はありません。足が痛くならず、それでいてほどけにくい状態になります。
ランニング・スポーツ時は「ヒールロック」でさらに解けにくくする
スニーカーやランニングシューズの最上部にある「2つ並んだ一番上の穴」を活用した「ヒールロック(Lock Lacing)」という締め方を行うと、かかとが強力に固定され、靴紐の緩みや解けを大幅に防ぐことができます。
- ①一番上の穴に外側から紐を通し、小さな輪(ループ)を作る(両足の左右とも行う)
- ②反対側の紐の端を、作っておいた左右のループに交差させて通す
- ③紐の端を真下(かかと方向)に向かって強く引き締め、かかとをシューズに密着させる
- ④その状態から、通常の蝶結びやイアン・ノットを行う
特にランニングや登山、急激なストップ&ゴーを伴うスポーツでは、足がシューズ内で動くことによる靴紐の解けや爪の痛みを劇的に防げます。
そもそも靴紐はなぜほどけるのか

靴紐がほどける現象は、単なる「結び方の緩み」ではなく、物理学的なメカニズムに基づいています。2017年にカリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)の研究チームが発表した論文(Proceedings of the Royal Society A掲載)では、歩行時に靴紐にかかる「衝撃」と「慣性」の2つの力が組み合わさることで、結び目が急速に解ける仕組みが示されています。
原因①:着地の衝撃で結び目が「緩む」
歩いたり走ったりするとき、地面に接している足には大きな力がかかります。この衝撃で結び目そのものがわずかに伸び、締まっていた部分に隙間が生まれます。これが第1段階です。
強く締めても、衝撃の回数が積み重なれば同じことが起こります。「力いっぱい結んだのにほどけた」という経験があるのは、このためです。
原因②:足を振る動きで紐が「抜ける」
緩んだ結び目に対して、足を前に振り出す動作が加わります。このとき、垂れ下がった紐の端が慣性で前方に引っぱられます。
これが第2段階で、ほどける瞬間はこの引き抜きによって起こります。垂れ下がる紐が長いほど慣性の影響を受けやすいため、紐の長さもほどけやすさに関係します。
結び方を変えてもほどけないなら、靴ひも自体を見直す
いくつか結び方を試してもほどけてしまう場合、原因は結び目ではなく紐そのものにあります。
表面がなめらかで断面が丸い紐は、どんなに丁寧に結んでも滑ってしまいます。この場合、結び方の練習に時間をかけるより、紐を替えてしまうほうが早く解決します。
まずは手元の紐を3つの観点で確認してください。
チェック①断面は丸い?平たい?
丸紐は紐どうしが点で接するため、触れあう面積が小さく、結び目が滑りやすくなります。
平紐は面で接するため摩擦が効き、同じ結び方でもほどけにくくなります。手元の紐がどちらかを見るだけで判別できます。
丸紐を使っていてほどけて困っている方は、平型への交換がもっとも効果を見こめます。
チェック②表面はツルツル?ザラつきがある?
化学繊維で表面がなめらかな紐は摩擦が小さく、どんな結び方をしても滑りやすくなります。
指で紐をこすってみてください。まったく引っかかりを感じないようなら要注意です。摩擦が効くのは、表面に織りの目や凹凸がある紐です。
チェック③靴に対して長すぎない?
結んだあとに垂れ下がる紐が長いほど、歩くときの慣性で結び目を引っぱる力が大きくなります。踏んで転ぶリスクも上がります。
長さの目安は以下のとおりです。
| 靴穴の数・サイズ | 適した長さの目安 |
|---|---|
| 6穴・靴サイズ22〜25cm程度 | 100cm前後 |
| 穴の数が多い靴、サイズが大きい靴 | 120cm前後 |
結んだあとに輪を除いた垂れ下がり部分が10cm以上あるなら、短いものに替えると扱いやすくなります。
余った靴紐が長いときの3つの対処法
紐の長さを変えずに今すぐ対処したい場合は、以下の方法で余った部分を処理すると解けにくくなります。
- シュータン(ベロ)の裏に隠す:結び目をシュータンの裏側に落とし込むか、左右の端をシュータンの裏側に沿わせて収納します。
- 靴紐の交差部分に潜らせる:余った輪や端の部分を、甲の上の交差している靴紐にくぐらせて固定します。
- 適切な長さにカットしてアグレット(先留めパーツ)を装着する:ハサミでカットし、100均などで入手できる靴紐用の伸縮チューブや金具を取り付けて長さを調整します。
100均で買える靴ひもでお得に試すのもあり
靴ひもは100円ショップでも手に入ります。1本110円なので、結び方の練習を重ねるより先に実際の靴ひもで試してしまうという選択もあります。
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紐を替えるときの通し方
紐を交換するときは、いま通っている通し方をスマートフォンで撮影してから外すと、迷わず元に戻せます。
なお、通し方にもほどけやすさの差があります。紐が交差する部分が上に来る通し方(オーバーラップ)は締まりやすく、緩みにくい傾向があります。
そもそも「結ばない」という選択肢もある
結ぶこと自体をやめてしまう、という解決策もあります。
「結ばない靴紐」は一度取りつければ、以降は足を入れるだけで履けるようになります。結ぶのが苦手な方、脱ぎ履きが多い方、手指の力が弱い子どもに向いています。
ただし見た目が変わる、締め具合を細かく調整しにくいといった弱点もあります。買う前に向き不向きを確認してください。
シリコーン製の結ばない靴ひも
シリコーンゴム製のパーツを、靴穴に1つずつはめこんでいくタイプです。紐を通す作業が不要で、見た目もすっきりします。
素材が伸縮するため脱ぎ履きがスムーズで、お手入れも簡単です。
ただし装着にはある程度の力とコツが必要です。また、足幅が広い方(3E程度)の場合は、はめこむのが難しく、締め付けを強く感じることがあります。購入前に自分の足幅を確認しておくと安心です。
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ゴム紐+スライド式ストッパー
伸縮するゴム製の紐と、長さを固定するスライド式のストッパーがセットになったタイプです。全長は約100cmで、紐もパーツも黒でまとまっています。
靴穴に通してストッパーで留めるだけで取りつけが完了します。締め具合はストッパーの位置で決められるため、フィット感を自分で調整できるのが利点です。
ゴムなので伸び縮みし、履くときも脱ぐときもスムーズに足が入ります。走りまわる子どもの靴にも使えます。
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取りつけの手順
-
1
もとの紐を外す
-
2
ゴム紐を靴穴に通す
-
3
両端をストッパーに通す
-
4
実際に履いて締め具合を決め、ストッパーの位置を固定する
-
5
余った紐を切る、または内側に収める
結ばないタイプが向かないケース
すべての人に合うわけではありません。以下に当てはまる場合は、結ぶタイプのほうが適しています。
| こんな場合 | 理由 |
|---|---|
| 革靴・ドレスシューズに使いたい | 見た目が大きく変わり、フォーマルな場に合わない |
| 日によって締め具合を変えたい | 一度固定すると細かい調整がしにくい |
| 足のむくみで調整が必要 | 夕方の締め付けがきつくなることがある |
| 走る・跳ぶ動きが多い | 結ぶタイプのほうが細かく締められる |
「毎日の脱ぎ履きを楽にしたい」なら結ばないタイプ、「しっかり足を固定したい」なら結ぶタイプ、という使い分けが基本の考え方になります。
靴紐がほどけない結び方に関するよくある質問
靴ひもの結び方について、よくある質問と回答をまとめました。
イアン・ノットとイアン・セキュア・ノットは何がちがう?
基本の構造は同じで、セキュア・ノットには輪を中央にもう一度通す工程が加わります。そのぶんロックが強く効きます。
そのかわり手順が5つから7つに増え、結ぶ時間も3倍ほどかかります。ふだん使いならイアン・ノット、走る・登るならセキュア・ノット、という使い分けがおすすめです。
なぜ片足だけよくほどけるの?
左右で結ぶ手の動きがちがい、片方だけ結び目が縦向きになっているケースが多いためです。
両足の結び目を真上から見くらべてみてください。向きがちがっていれば、それが原因です。
子どもが自分でできる結び方はどれ?
輪の固結びがもっとも工程が少なく、手指の力が弱くても実行できます。ほどくときも輪を引くだけで解けるため、外出先で子ども自身が対応できます。
それも難しい年齢であれば、結ばないタイプの紐に替えるという方法もあります。
革靴に合う結び方は?
結び目が左右対称に整うベルルッティ結びがもっとも向いています。
手早く済ませたい場合は二重巻きでも結び目が目立たず、通勤用として使いやすいでしょう。結ばないタイプは見た目が大きく変わるため、革靴には向きません。
100均の靴ひもでもほどけにくくなる?
ほどけやすさは価格ではなく、形状と表面の質感で決まります。平型で表面に織りの目がある紐なら、100円ショップのものでも十分に効果があります。
ただし登山や激しいスポーツなど、負荷が特に大きい用途では専用品のほうが適している場合があります。
結び目がきつくて足が痛いときは?
結び目を強く締めることで解決しようとしているサインです。
この記事で紹介した5つの結び方は、いずれも強く締める必要がありません。締め付けを緩めても、ほどけにくさは変わらないのです。あわせて、結ぶ前の締め方を見直すとフィット感が改善します。
まとめ:まずは出来そうな結び方を1つ覚えよう
靴紐がほどけるのは、あなたの結ぶ力が足りないからではありません。結び目の構造にそもそもの原因があります。
だからこそ、力いっぱい締めても、二重に固結びしても解決しないことがあります。逆にいえば、結び方・構造さえ変えてしまえば、強く締めなくてもほどけなくなります。ぜひこの記事を見ながら自分の靴で試してみてください。
- まず結び目の向きを確認する。 縦向きに立っているなら、蝶結びの輪を回す向きを逆にするだけで改善する可能性がある
- それでもほどけるなら、結び方を1つだけ選んで覚える。 迷ったら、いつもの蝶結びにひと巻き足すだけの「二重巻き」から
- 選ぶときは、ほどけにくさとあわせて「ほどきやすさ」も見る。 固く結ぶことが目的ではなく、必要なときにすぐ解けることも同じくらい大切
- 走る・登るなど負荷が大きい場面では、イアン・セキュア・ノットやベルルッティ結びを選ぶ。 緩む段階と抜ける段階の両方に効く
- どの結び方でもほどけるなら、紐そのものを疑う。 丸紐から平型に替えるだけで解決することがあり、100円ショップでも手に入る
