地震や台風で断水すると、自宅のトイレは流せなくなります。飲み水や食料は備えていても、トイレの準備は必要なものがいまいちわからなくて抜けていたというかたは意外と多いものです。
簡易トイレは、100均で買える「ポリ袋・凝固剤・消臭袋」の3点があれば作れます。しかも、自宅の便器が壊れていなければ、その便器を使うのがいちばん早くて安全です。この記事では、3通りの作り方と、家族の人数から必要数がわかる早見表、使ったあとの処理までをまとめて紹介します。
- 100均グッズで作る簡易トイレの基本構成
- 便器・据え置き・持ち歩きの3通りの作り方
- 家族の人数と日数から必要数を計算する方法
- 使用後のにおい対策と保管・処分の流れ
- 100均で材料をそろえるときの選び方と注意点
必要な回数は「人数×1日5回×日数」で決まるため、4人家族の7日分なら140回分と、袋も凝固剤もまとまった数が必要になります。ワッツのまとめ買いサイトでは、店舗での購入と異なり、必要な数量をまとめて注文できます。
法人アカウントにも対応しており、ショップ運営者や職場・団体での手配にも活用されています。個人での大量購入はもちろん、自治会や企業でまとめて備蓄したい場合にもご利用いただけます。
100均で作る簡易トイレ|仕組みと3つの作り方
簡易トイレは特別な道具がなくても作れます。まずは「どんな仕組みでできているのか」を押さえたうえで、3つの作り方を比べてみましょう。ここを読めば、自分がどれを作ればよいかが決まります。
簡易トイレは「容器・袋・吸収材」の3つでできている

作り方はいくつもありますが、どれも中身は同じで、次の3つの組み合わせでできています。

この3つさえ揃っていれば、容器が何であっても簡易トイレは成立します。逆にいえば、どれか1つでも欠けると使いものになりません。「容器はあるけれど凝固剤がない」という状態では、液体がそのまま袋にたまり、持ち運ぶときにこぼれてしまいます。
黒袋・白袋・凝固剤がセットになった便器で使える防災用簡易トイレセットを用意しておくのがもっとも簡単ですよ。
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100均で作れる簡易トイレ3タイプを比べてみよう
作り方は大きく3通りです。あわせて「作らずに既製品を買う」という選択肢も並べました。

自宅で過ごすなら①、便器が壊れていたりトイレまで行けなかったりするなら②、外出先や車に備えるなら③が基本です。②と③は両方備えておくと、状況が変わっても対応できますよ。
自宅の便器が使えるなら、新しく作る必要はありません
意外に思われるかもしれませんが、在宅避難でいちばん確実な簡易トイレは、自宅の便器にポリ袋をかぶせたものです。高さも安定感もいつもどおりで、家族の誰もが迷わず使えます。新しく容器を用意するより、安く、早く、快適です。
便器そのものが割れていたり、大きく傾いていたりしなければ、まずはこの方法を選んでみてください。断水していても、便器が無事なら「容器」としては問題なく使えます。
一方、次のような場合は別の方法が必要になります。
- 地震で便器が破損している、傾いている
- がれきや家具でトイレまで行けない
- 停電でエレベーターが止まり、高層階から動けない
- 避難所や車のなかで使いたい
- 家族が同時に使う必要があり、トイレが1か所では足りない
自分がどれに当てはまるかを見てから、次に進みましょう。
100均で揃える材料リスト|必ず買うもの・家にあるもので代用できるもの
買い物に行く前に、何をいくつ買えばよいかをはっきりさせておきましょう。ここでは材料を「必ず買うもの」「容器」「家にあれば代用できるもの」の3つに分けて整理します。
必ず用意したい3点は、厚手のポリ袋・凝固剤・消臭袋

最低限これだけあれば作れます。
| 品目 | 選ぶ基準 | 価格の目安 |
|---|---|---|
| 厚手のポリ袋 | 45L前後。中身が透けにくい黒や不透明のもの | 110円(10〜15枚前後) |
| トイレ用の凝固剤 | 1回ごとの個包装タイプが使いやすい | 330円前後 |
| おむつ用の消臭袋 | においを通しにくい素材のもの | 110円(15枚前後) |
ポリ袋は「厚手」と「不透明」を選びましょう
薄手の袋は、座ったときに容器の角でこすれて破れます。ごみ袋のなかでも厚手と書かれたものを選んでみてください。
色は黒か、中身が透けにくいものがおすすめです。衛生面ではなく、心理的な負担を減らすためです。使用後の袋を運んだり、しばらく自宅に置いたりすることを考えると、中身が見えないほうが家族みんなが使いやすくなります。
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凝固剤は「1回何包」がわかるものを選びましょう
凝固剤は液体を固めてゼリー状にする粉末で、こぼれを防ぎ、においの発生を抑えます。主成分は高吸水性ポリマーで、水分を吸って膨らむ性質があります。100均では防災グッズのコーナーに置かれていることが多く、複数回分がまとまったパックで売られています。
選ぶときは、1パックに何回分入っているかを必ずチェックしてください。あとで必要数を計算するときに、この数字が基準になります。
消臭袋は普通のポリ袋とは別に用意しましょう
使用後の袋を入れる二重目の袋です。普通のポリ袋は空気を通すため、においも少しずつ漏れます。おむつ用として売られている消臭袋は、においを通しにくい素材でできていて、密閉したあとの体感がまったく違います。
赤ちゃん用品やおむつ関連のコーナーに置かれていることが多いので、防災コーナーで見つからなければそちらを探してみてくださいね。
容器は何を使う?100均で買えるもの・家にあるもの
便器が使えない場合は、容器を用意します。選ぶときのポイントは次の3つです。
- 強度:座っても変形しないこと。耐荷重の表示があるものが安心
- 深さ:浅すぎると排泄物が袋の口に近づき、不衛生になる
- 開口部の広さ:狭いと大便に対応できない
| 容器の候補 | 高さの目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 組み立て式のダンボールトイレ | 便座に近い高さ | 座面まで設計されており、いちばん安定する。100均では660円前後 |
| ふた付き収納ボックス | 30cm前後 | ふたがあるので保管にも使える。強度は商品により差がある |
| バケツ | 30cm前後 | 手に入りやすいが、開口部が丸く狭いものは大便に向かない |
| コンテナ | 20〜30cm | 収納しやすいが、浅めのものは深さが足りない |
いずれの場合も、耐荷重の表示を必ず見ておきましょう。表示がない容器は、体重をかけずに使う前提で考えてください。自作したものの強度は誰にも保証できないため、不安があるなら最初から座面が設計された組み立て式を選ぶほうが確実です。
凝固剤がないときは、家にあるもので代用できます
ただしこれらを買いに行く前提で計画を立てるのはおすすめしません。
| 代用品 | 吸収力 | 注意点 |
|---|---|---|
| 新聞紙 | 低い | 1回につき5〜6枚を小さくたたんで重ねる。量が足りないと液体が底にたまる |
| 紙おむつ | 高い | 1回に1枚。子どもや介護で使っているものがあれば有効 |
| ペットシーツ | 高い | 1回に1枚。ペットを飼っている家庭なら備えとして兼用できる |
代用品はいずれも「かさばる」「量の目安がわかりにくい」という弱点があります。新聞紙は枚数が足りないと液体が袋の底にたまり、持ち上げたときに揺れて危険です。凝固剤なら1回1包と決まっているため、必要数を計算でき、処理も短時間で済みます。備えとして揃えるなら凝固剤がおすすめです。
買い物チェックリスト
スマートフォンで保存して、必要なものを確認すると便利です。
①便器を使う場合
- 厚手のポリ袋(45L・不透明)
- トイレ用の凝固剤
- 消臭袋
- 使い捨て手袋
- 除菌ウェットシート
②座れる据え置き型を作る場合(上記に加えて)
- 容器(組み立て式トイレ、ふた付き収納ボックスなど)
- 座面用のクッション材またはタオル
③持ち歩き用を作る場合
- 厚手のポリ袋(30L)
- トイレ用の凝固剤
- 消臭袋
- ジッパー付きの保存袋
- ポケットティッシュ、ウェットシート
【方法1】自宅の便器で作る簡易トイレの作り方

在宅避難でいちばん使う方法です。工程は4つだけ、道具もいりません。ここで多くのかたの準備は終わります。
用意するもの
| 品目 | 数量 |
|---|---|
| 厚手のポリ袋(45L) | 2枚(うち1枚は繰り返し使用) |
| トイレ用の凝固剤 | 1回分 |
| 消臭袋 | 1枚 |
1〜2分あればできます。はさみもテープも使いません。
手順1:便座を上げ、便器に1枚目の袋をかぶせる
便座を上げた状態で、便器全体に1枚目のポリ袋をかぶせます。袋の縁は便器の外側に大きく折り返し、たるみすぎず張りすぎない状態にしてください。
この袋は便器そのものを汚さないための保護用です。排泄物が直接触れないため、そのまま繰り返し使えます。便器内に水が残っている場合は、そのうえからかぶせて問題ありません。
手順2:便座を下ろし、その上から2枚目の袋をかぶせる
便座を下ろしたら、その上から2枚目のポリ袋をかぶせます。これが排泄物を受け、そのまま回収する袋になります。
便座と袋のあいだに隙間ができないよう、縁を外側にしっかり折り返しましょう。折り返しが浅いと、使用中にずれて隙間から漏れることがあります。
手順3:2枚目の袋に凝固剤やちぎった新聞紙を入れる
用を足す前に、2枚目の袋の底へ凝固剤を入れておきます。先に入れておくことで、排泄と同時に液体が固まりはじめ、音もやわらぎます。凝固剤が手元にないときは、ちぎった新聞紙を敷いても代わりになります。
使う量は1回につき1包が目安です。製品の表示を見ておきましょう。
うまく固めるコツは次の3つです。
- 袋の底をできるだけ平らにしてから入れる:底にシワが寄っていると、その溝に凝固剤がたまり、全体に行き渡りません
- 用を足したあと、袋を軽くゆすって広げる:粉末が一か所に固まっていると固まり残しが出ます
- 固まりきらないときは追加でふりかける:1包で足りない場合があります
とくに大便のときは、先に入れた分だけでは足りないことがあります。用を足したあとに様子を見て、液体が残っていればもう1包ふりかけてください。大便だけで水分が少ないときも凝固剤はうまく働かないので、使える水があれば、排泄物が浸る程度に少量の水を加えてから追加でふりかけてみてください。
手順4:用を足したら2枚目の袋だけを取り出して捨てる
用を足したあとは、便座にかぶせた2枚目の袋だけを取り外します。空気を抜いて口を縛り、消臭袋に入れて処分しましょう。
便器側の1枚目の袋は、汚れていなければそのまま残しておきます。次に使う人は、2枚目の袋を新しくかぶせて凝固剤を入れるだけで準備が整います。
なぜ袋を2枚使うのか

「1枚でいいのでは」と思われがちですが、これは避けましょう。
袋が1枚だけだと、破れたり縁からこぼれたりしたときに、便器本体が汚れてしまいます。断水中は水で洗い流せないため、一度汚れた便器はそのまま使えなくなります。家族全員のトイレが1回の失敗で使えなくなる、ということが起こりえます。
1枚目を保護用として敷いておけば、万が一漏れても保護用の袋が受け止めてくれます。わずか十数円の袋1枚で、この事態を防げます。
断水したら、なぜ水を流してはいけないのか

「汲み置きの水で流せばいい」と考えるかたは多いのですが、地震のあとは危険です。
地震の揺れで建物の排水管が壊れていると、流した汚水が行き場を失い、逆流したり床から溢れ出したりするおそれがあります。集合住宅の場合、自分の部屋から流した汚水が階下の部屋に被害を及ぼすこともあります。
配管の状態は見た目ではわかりません。自己判断で流さず、管理組合や自治体の下水道担当からの確認・復旧の連絡を待ちましょう。仮設トイレの設置や下水道の復旧には日数がかかることもあるため、そのあいだをしのぐのが簡易トイレの役割です。
【重要】固まった凝固剤は、水が復旧しても便器に流さないでください
断水が解消したあとも、使用して固まった凝固剤や排泄物を便器に流すのは厳禁です。
凝固剤の主成分である高吸水性ポリマーは、水を含むとさらに膨らみます。排水管のなかで水を吸って膨らみ、配管を詰まらせる原因になります。メーカー各社も「使用後は流さず、可燃ごみとして処分する」と案内しています。集合住宅では、自室だけでなく建物全体の配管トラブルにつながることもあります。
水が使えるようになっても、使用済みの袋は必ず口を縛って、ごみとして処分してくださいね。捨て方は
【方法2】便器が使えないときの「座れる簡易トイレ」の作り方
便器が壊れている、トイレまで行けない、家族が同時に使いたい。そんなときは容器を使って自作します。高さがあるぶんしゃがむ負担が少なく、膝や腰に不安のあるかたでも使いやすいのが特徴です。
用意するもの
| 品目 | 数量 |
|---|---|
| 容器(組み立て式トイレ、ふた付き収納ボックスなど) | 1個 |
| 厚手のポリ袋(45L) | 2枚 |
| トイレ用の凝固剤 | 1回分 |
| 座面用のクッション材またはタオル | 適量 |
10〜15分ほどでできます。

手順1:容器に袋を二重にかぶせる
容器に1枚目の袋をかぶせて内側に沿わせ、その上から2枚目をかぶせます。役割は便器の場合と同じで、1枚目が容器の保護、2枚目が回収用です。
どちらの袋も、縁を外側へ10cm以上折り返してください。容器は便座と違って縁が細く、袋が引っかかりにくいため、折り返しが浅いとすぐにずれてしまいます。
手順2:袋の底を平らにならして凝固剤を入れる
袋の底を手で押して平らにならしてから、凝固剤を入れます。容器は便器より深いぶん、液体が底の一点に集まりやすく、シワがあるとそこに液体がたまって固まりにくくなります。凝固剤がなければ、ちぎった新聞紙を敷いても代わりになります。
便器の場合と同じく、用を足したあとに液体が残っていれば追加でふりかけてください。容器が深いと粉末が届きにくいので、袋の縁を持って軽くゆすり、全体に行き渡らせましょう。
手順3:座面を作って負担を減らす
容器の縁は硬く、そのまま座るとかなり痛みます。長く使うことを考えると、座面を作っておくと快適さがまったく違いますよ。
クッション材を縁に沿わせる
100均で手に入る柔らかい素材を、容器の縁に沿わせて固定します。テープで留めるか、袋の折り返しで挟み込むと安定します。
タオルを巻く
専用の材料がなくても、厚手のタオルを縁に巻きつけるだけで十分効果があります。汚れたら交換すればよいので、災害時にはこちらのほうが現実的な場合もあるでしょう。
はさみやカッターで材料を切る場合は、手元に気をつけてください。断水中はけがの手当も難しくなります。
手順4:設置場所を決めて安定させる
置き場所によって使いやすさと安全性が変わります。
- 平らで硬い床に置く:畳やカーペットの上だと容器が沈んで不安定になります
- 壁際に置く:立ち座りのときに壁に手をつけると、転倒を防げます
- 下に敷物を敷く:万が一こぼれたときに床を汚さずに済みます
- 手元の明かりを用意する:停電時は真っ暗になるため、ライトを近くに置いておきます
作るのが手間なら、組み立て式のダンボールトイレという方法も
100均には、組み立て式のダンボールトイレも売られていることがあります。一から自作より高くなりますが、座面の高さや強度が設計されているぶん、自作よりも安定します。工作が苦手なかたや、家族に高齢者がいる家庭にはこちらがおすすめです。
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ただし購入時には、ポリ袋や凝固剤が別売りになっていないかを必ず見ておきましょう。本体だけでは使えない商品もあるため、袋や凝固剤が付属しているかを確認してください。
【方法3】持ち歩き・車に積む携帯用の作り方
外出先や車のなか、渋滞で動けないときのための備えです。容器を使わず袋だけで完結するので、1回分をコンパクトにまとめられます。在宅用とは求められる条件が違い、軽さとかさばらなさが優先されます。
用意するもの(1回分)
| 品目 | 数量 |
|---|---|
| 厚手のポリ袋(30L) | 1枚 |
| トイレ用の凝固剤 | 1回分 |
| 消臭袋 | 1枚 |
| ジッパー付き保存袋 | 1枚 |
| ポケットティッシュ、ウェットシート | 各1個 |
容器にかぶせないため、在宅用より小さい30Lの袋で足ります。

手順:1回分をひとまとめにパックする
作業は3ステップです。
-
1
ポリ袋のなかに凝固剤を1回分入れる
-
2
その袋を、消臭袋・ティッシュ・ウェットシートと一緒にまとめる
-
3
ジッパー付き保存袋に入れて封をする
1パックあたり2分ほどでできます。使う直前にすぐ展開できる状態にしておくのが目的です。材料をバラバラに保管していると、いざというときに袋だけ、凝固剤だけが見つからないという事態になってしまいます。
なお、凝固剤は個包装のままポリ袋に同封しておき、使う直前に封を切って袋の底に入れます。あらかじめ袋のなかに出しておくと、持ち運びの湿気で固まってしまうことがあるので注意しましょう。
使うときの手順と、人目を遮る方法
使う場面では、袋の口を大きく開いて外側へ折り返し、姿勢を安定させます。持ち歩き用は座る土台がないため、どうしても中腰かしゃがんだ姿勢になります。
屋外や車内では、目隠しが必要です。100均で手に入るものだけでも、次の選択肢があります。
| 目隠しの方法 | 価格の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| ポンチョ | 220円前後 | かぶるだけで体の前後を覆える。収納が小さい |
| レインコート | 110〜220円 | 雨具と兼用できる。丈が短いものは覆いきれない |
| 簡易テント | 440円前後 | 空間ごと仕切れる。避難所や屋外で有効だが、かさばる |
ポンチョを選ぶときは丈の長さに気をつけましょう。しゃがんだ姿勢で膝が隠れる程度の丈が必要です。身長160cm前後のかたで丈110〜120cm、170cm前後なら丈130cm程度が目安になります。
車に常備するときの注意点
車内は夏場に高温になります。凝固剤は高温多湿に弱いため、直射日光の当たるダッシュボードは避け、トランクや座席下など温度変化の少ない場所に保管しましょう。
使う場所は、後部座席よりもトランクや荷室のほうが安定します。座席のクッションは沈むため、姿勢が保ちにくいのです。
また、使用後の袋を車内に置き続けないよう、消臭袋の予備とふた付きの容器も一緒に積んでおくと安心ですよ。
何回分必要?人数と日数でわかる必要量と費用

ここがいちばん大切な部分です。作り方を知っても、必要な数を用意していなければ意味がありません。1セット作って満足してしまい、必要数を計算せずに備えると、早い段階で不足するおそれがあります。
家族の人数と備える日数から、必要な回数と金額を具体的に出していきましょう。
必要な回数を計算してみましょう
計算式はとてもシンプルです。
必要な回数 = 人数 × 1日のトイレ回数 × 備える日数
1日のトイレ回数は個人差がありますが、災害用トイレの必要数を見積もるときには1人あたり1日5回が目安として使われます。これは内閣府が定めた「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」に書かれている数字で、自治体がトイレの必要数を計算するときの基準にもなっています。
備える日数については、経済産業省が1人あたり35回分(7日分)をすすめています。大規模災害では、支援物資の到着や下水道の復旧に1週間以上かかることも想定されているためです。まずは3日分を確保し、7日分を目標にしていくと無理がありません。
ここで気をつけたいのは、「我慢すれば回数は減る」という前提で計算しないことです。トイレに行く回数を減らそうとして水分を控えると、脱水やエコノミークラス症候群といった健康被害につながります。災害関連死の原因にもなるため、回数は減らさない前提で備えましょう。
人数・日数別に必要量がわかる早見表
自分の家族構成に当てはまるマスを見てみてください。
| 人数 | 3日分 | 5日分 | 7日分 |
|---|---|---|---|
| 1人 | 15回 | 25回 | 35回 |
| 2人 | 30回 | 50回 | 70回 |
| 3人 | 45回 | 75回 | 105回 |
| 4人 | 60回 | 100回 | 140回 |
| 5人 | 75回 | 125回 | 175回 |
たとえば4人家族で7日分なら140回分が必要です。これは1セット作っただけでは到底足りない数だとわかります。1日あたり20回、つまり家族全員で朝から晩まで使い続ける計算になります。
早見表の数字を「買う個数」に置きかえてみましょう
回数がわかっても、商品が何枚入りかを知らなければ買えません。4人家族・7日分(140回分)を例に、買う個数へ換算してみます。
| 品目 | 1パックの入数(例) | 必要なパック数 | 金額の目安 |
|---|---|---|---|
| ポリ袋(45L) | 16枚 | 9パック | 約990円 |
| トイレ用の凝固剤 | 15回分 | 10パック | 約3,300円 |
| 消臭袋 | 15枚 | 10パック | 約1,100円 |
| 合計 | 約5,400円 |
※入数は商品によって違います。実際に買うときは、パッケージの表示を見て計算しなおしてみてくださいね。
140回分をすべて揃えても、5,000円台に収まります。1回あたりにすると約39円です。
一度に全部揃えなくても大丈夫
5,400円という金額を見て、手が止まってしまうかたもいるかもしれません。そんなときは、まず3日分から始めてみましょう。
4人家族の3日分(60回分)なら、ポリ袋4パック・凝固剤4パック・消臭袋4パックで、合計2,200円程度です。これだけでも、何もない状態とは安心感がまったく違います。
優先順位は次のとおりです。
- ポリ袋と凝固剤:これがないと排泄そのものができません
- 消臭袋:使用後の保管に必要。夏場はとくに大事です
- 使い捨て手袋・除菌シート:衛生管理のため
- 容器・目隠し:便器が使える環境なら後回しでも構いません
まずは1と2だけを買いに行く。それだけでも、今日の一歩としては十分です。
作る?買う?100均と既製品との費用比較

防災グッズとして、袋と凝固剤がセットになった既製の簡易トイレも売られています。「わざわざ作る意味があるのか」という疑問はもっともです。数字で比べてみましょう。
100均ではどんな既製の簡易トイレが買える?
大きく3タイプあります。※タイミングや在庫状況、購入店舗によって変わります
| タイプ | 内容 | 価格の目安 | 1回あたり |
|---|---|---|---|
| 1回分の袋タイプ | 排泄袋1枚+凝固剤1包 | 110円前後 | 約110円 |
| 複数回分のセット | 袋と凝固剤が5〜8回分 | 550円前後 | 約70〜110円 |
| 組み立て式のダンボールトイレ | 本体のみ(袋・凝固剤は別売の場合あり) | 660円前後 | 本体代のみ |
袋タイプは、袋そのものが自立して形を保つものもあり、容器にセットしなくても使えます。手軽さでは自作を上回ります。
同じ条件で比べると、どちらが安いか
4人家族・7日分(140回分)という同じ条件で比べてみます。
| 方法 | 総額の目安 | 1回あたり |
|---|---|---|
| 100均の材料で自作 | 約5,400円 | 約39円 |
| 100均の既製品(1回分タイプ) | 約15,400円 | 約110円 |
| 市販の防災用トイレセット | 約10,000〜14,000円 | 約70〜100円 |
※市販品は50回分3,000〜5,000円台の商品をもとに換算した目安です。
必要回数が多くなるほど、自作の1回あたりの安さがはっきり効いてきます。140回分なら、自作と既製品で約1万円の差が出ます。
一方、必要回数が少ない場合は話が変わります。1人暮らしで3日分(15回分)なら、既製品でも約1,650円。自作なら約900円ですが、差額は750円ほどです。この差なら、袋をかぶせる手間がない既製品を選ぶのも十分に賢い選び方といえます。
目安としては、50回分を超えるあたりから自作の経済的なメリットが大きくなると考えてみてください。
時間も「コスト」として考えてみましょう
自作には作業時間がかかります。140回分の1回分パックを作るなら、1パック2分としても合計で4〜5時間です。もちろん在宅用は使うたびに袋をセットすればよいので、事前にすべてパックする必要はありません。
それでも、買い物と準備の手間を考えると、「時間をかけたくない」というかたには既製品が向いています。費用だけでなく、自分がかけられる手間も一緒に考えてみてくださいね。
現実的なのは「使い分け」
結論としては、どちらか一方に決める必要はありません。用途ごとに分けるのがいちばん現実的です。
| 用途 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 在宅避難用 | 便器+自作の袋セット | 量が必要なので、単価の安さが効く |
| 持ち出し袋用 | 既製品を2〜3回分 | かさばらず、すぐ使える状態で携帯できる |
| 車載用 | 既製品を2〜3回分+目隠し | 高温になる車内でも扱いやすい |
在宅用は量で、持ち出し用は手軽さで選ぶ。この組み合わせが、費用と使いやすさのバランスがいちばんよくなります。
使ったあとの処理と保管|においを抑える3ステップ

実は、多くのかたがいちばん困るのは「使ったあと」です。災害時はごみの収集が止まるため、使用済みの袋を数日から1週間以上、自宅で保管しなければなりません。夏場であればなおさら深刻です。
においは「固める・密閉する・隔離する」の3段階で抑えます。どれか1つでも抜けると、においは漏れてしまいます。
ステップ1:固める(においのもとを減らす)
用を足したら、袋のなかの凝固剤が全体に行き渡っているかを見て、液体をゼリー状に固めます。液体のままだと運ぶときに揺れてこぼれますし、水分があるぶんにおいも発生しやすくなります。
固めるときのコツは、先に袋の底を平らにして凝固剤を入れておくことと、用を足したあとに袋を軽くゆすって全体に広げることです。凝固剤が一か所に固まっていると、その周りだけが固まって液体が残ってしまいます。
固まり残しがある場合は、追加でふりかけても問題ありません。水分が残ったまま縛ると、袋のなかで液体が動き、結び目から漏れる原因になります。
ステップ2:密閉する(空気を抜いて二重にする)
固まったことを確かめたら、袋の空気をできるだけ抜いてから口を縛ります。

空気を抜く理由は2つあります。ひとつは、空気が残っていると袋が膨らみ、保管するときに場所を取ること。もうひとつは、袋のなかの空気が結び目からじわじわと漏れ出し、そのたびににおいが出ることです。
縛った袋は、そのまま消臭袋に入れてもう一度縛ります。普通のポリ袋を二重にするのとは効果が違い、消臭袋はにおいの成分そのものを通しにくい素材でできています。この一手間で、保管中の体感が大きく変わりますよ。
ステップ3:隔離する(保管場所とふた付き容器)
密閉した袋は、ふた付きの容器にまとめて保管します。直射日光と高温多湿を避けることが大事です。温度が上がるほど、においも雑菌も増えやすくなります。
住まいごとの現実的な置き場所は次のとおりです。
| 住まい | おすすめの保管場所 |
|---|---|
| マンション・アパート | ベランダの日陰、玄関の土間、共用部でない専有スペース |
| 戸建て | 屋外の物置、勝手口の外、直射日光の当たらない軒下 |
いずれの場合も、ふたのない容器に入れるのは避けましょう。においだけでなく、ハエなどの虫が集まる原因になります。100均のふた付き収納ボックスやバケツで十分対応できます。
ごみとして出すときのルールは自治体で違う
使用済みの袋は、紙おむつと同じように可燃ごみとして扱われるのが一般的です。ただし、自治体によってルールが変わってきます。
災害時はさらに、収集の体制そのものが変わることがあります。通常の収集が止まる、仮置き場が設けられる、分別のルールが一時的に変更される、といったケースです。
確かめ方は次のとおりです。
- 「お住まいの自治体名 + 災害時 ごみ」で検索する
- 自治体の防災ページ、または清掃・環境担当課のページを見る
- 平常時のうちに一度確かめて、家族で共有しておく
災害が起きてから調べようとしても、通信が不安定で情報にたどり着けない可能性があります。備えるときに、あわせて確かめておくのが確実です。
くり返しになりますが、水が復旧したあとであっても、固まった中身を便器に流してはいけません。必ず袋ごとごみとして出してくださいね。
手を洗えないときはどうする?
断水中は、手を洗う水も貴重です。処理のときは次の点を守りましょう。
- 使い捨て手袋を着けてから作業する:素手で扱わないことが基本です
- 作業後はウェットシートで拭き取る:水がなくても最低限の衛生を保てます
- 手袋は使い捨てにする:洗って再利用しないでください
除菌シートだけに頼らないでください
災害時の避難生活では、ノロウイルスによる感染性胃腸炎が広がりやすくなります。ここで知っておきたいのが、ノロウイルスには消毒用エタノールが効きにくいという点です。厚生労働省も、エタノールや逆性石けんではなく、次亜塩素酸ナトリウムや加熱による処理が確実だとしています。
家庭でできる対策は次の2つです。
- まずウェットシートで物理的に拭き取る:消毒よりも、汚れごと取り除くことが基本になります
- 家族に下痢や嘔吐の症状があるときは、塩素系漂白剤を薄めた液で拭く:家庭用の塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウムを含むもの)で代用できます。使うときは製品の「使用上の注意」を必ず見て、酸性の製品と混ぜないようにしてください
除菌シートが無意味というわけではありません。手袋を着ける、拭き取る、症状があるときは塩素系を使う。この3つを組み合わせることが、二次感染を防ぐ鍵になります。
大便・におい・人目…言いにくい不安への対策
ここからは、検索してもなかなか答えが見つからない部分です。排泄は語りにくいテーマですが、実際に困るのはまさにこの部分なので、正面から解説します。
大便もできる?対応するための4つの条件

簡易トイレで大便に対応するには、次の4つの条件を満たす必要があります。
| 条件 | 理由 |
|---|---|
| ①開口部が広い | 狭いと姿勢が保てず、袋の外に出てしまう |
| ②座位または安定した中腰姿勢がとれる | 不安定な姿勢では長時間保てない |
| ③十分な吸収量がある | 小便より水分量が多くなる場合がある |
| ④拭いた紙を入れる余地がある | 袋の容量に余裕が必要 |
この記事で紹介した3つの方法を、この条件で比べるとこうなります。
| ①開口部 | ②姿勢 | ③吸収量 | ④紙の余地 | 総合 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 便器を使う | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
| 座れる据え置き型 | ○ | ○ | ◎ | ○ | ○ |
| 持ち歩き用 | △ | △ | ○ | △ | △ |
市販されている小便用の携帯トイレが大便に使えないのは、①の開口部が狭いためです。「携帯トイレを買ってあるから大丈夫」と思っていたら、いざというとき小便にしか使えなかった、というのはよくある誤算です。
大便のときは、紙を入れるタイミングに気をつけましょう
大便のときに失敗しやすいのが、トイレットペーパーを入れるタイミングです。
凝固剤は、大便そのものを固めるものではありません。一緒に出る尿や水分を吸って固め、漏れとにおいを抑えるものです。そのため、液体に凝固剤が届かないと効きが悪くなってしまいます。
おすすめの流れは次のとおりです。
-
1
袋の底に凝固剤を入れておく
-
2
用を足す
-
3
液体が残っていれば、上から追加でふりかける
大便のときは先に入れた分だけでは足りないことがあります
-
4
最後に、拭いたトイレットペーパーを入れる
紙を先に大量に入れてしまうと、紙が水分を吸ってしまい、凝固剤が液体に届きません。結果として固まり残しが出て、袋を持ち上げたときに漏れやすくなります。
ちょっとした順番の違いで仕上がりが変わるので、家族にも共有しておきましょう。
姿勢と高さで負担は変わる
しゃがむ姿勢を長く保つのは、想像以上に体力を使います。膝や腰に不安のあるかた、高齢のかたにとってはなおさらです。
座面の高さが一般的な洋式便座(40cm前後)に近いほど、負担は小さくなります。容器を選ぶときは、深さだけでなく高さも意識してみてください。
一方、高さがある容器ほど、座ったときに不安定になりやすいという面もあります。対策は3つです。
- 壁際に設置する:立ち座りのときに手をつけます
- 滑り止めを敷く:容器の下に滑り止めシートを敷くとずれません
- 平らで硬い床に置く:畳やカーペットは沈むので避けます
音が気になるなら、こんな工夫があります
在宅避難でも避難所でも、音は大きな心理的ハードルになります。とくに家族以外の人が近くにいる状況では、それが理由でトイレを我慢してしまうこともあります。
対策としては、用を足す前に凝固剤やちぎった新聞紙を袋の底に入れておくと、液体が直接袋に当たる音が和らぎます。手順どおりに準備しておけば、それだけで効果があります。ラジオや生活音を流しておくのも有効です。
においについても、使用後すぐに固めて密閉することがいちばんの対策です。消臭スプレーはあくまで補助なので、それだけで解決しようとしないでくださいね。
高齢の家族や子どもが使うときに確かめておきたいこと
家族に合わせた確認が必要です。
- 立ち座りの補助:手をつける場所があるか。壁際やしっかりした家具のそばに設置します
- 夜間の明かり:停電時、トイレの場所まで移動できるか。足元灯を確保します
- 子どもの高さ:容器が高すぎて1人で座れないことがあります。踏み台があると安心です
- 介助のスペース:介助が必要な場合、もう1人が入れる広さを確保しておきます
そして、一度は家族全員で試しておくことをおすすめします。本番で初めて使うと、誰かが戸惑い、その時間が家族全員のストレスになってしまいます。組み立てて座ってみるだけでも、当日の安心感が変わりますよ。
よくある失敗と対策
起こりやすい失敗を、症状ごとに並べました。作る前に読めば予防になり、作ったあとに読めばトラブル解決に使えます。
| 症状 | 主な原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 袋が破れた | 薄手・1枚使い | 厚手を2枚重ねる |
| においが抑えられない | 凝固不足・空気・袋の種類 | 3ステップを見直す |
| 容器が歪んだ | 耐荷重不足 | 表示を確かめる、既製品を検討 |
| 凝固剤が固まらない | シワ・量不足・水分不足 | 底を平らにして規定量を使う |
| 数が足りなかった | 必要数を計算していない | 早見表で確かめ直す |
| 材料が劣化していた | 保管環境・期限切れ | 定期的な点検 |
失敗1:袋が破れて中身がこぼれた
薄手の袋を1枚だけで使った、容器の角で擦れた、量を入れすぎた、というのが主な原因です。
厚手の袋を2枚重ねる、容器の角に緩衝材を当てる、1回ごとに交換する、という3点で防げます。
すでにこぼれてしまった場合、断水中は水で流せません。新聞紙やペーパータオルで吸い取り、除菌シートで拭き取ってから、拭いたものも消臭袋に入れて処理してください。
失敗2:においが抑えられない
原因は3つに分けて考えられます。
- 凝固が不十分:凝固剤が全体に行き渡っていない、量が足りない
- 空気を抜かずに縛った:結び目からにおいが漏れ続けます
- 普通のポリ袋に入れただけ:においを通してしまいます
いずれか1つでも欠けているとにおいます。消臭スプレーをいくら使っても、においのもとを抑えなければ効果は一時的です。処理の3ステップを最初から見直してみてください。
失敗3:座ったら容器が歪んだ・ぐらついた
容器の耐荷重を確かめていなかった、柔らかい床に置いた、縁の一点だけに荷重がかかった、というのが原因です。
いちばん確実なのは、買うときに耐荷重の表示を確かめておくこと。表示がない容器は、体重をかけない使い方(中腰で使う、支えを併用する)にしてください。
不安が残るなら、座面まで設計された組み立て式の既製品を選ぶほうが安全です。使用中に容器が壊れると、けがにつながります。
失敗4:凝固剤が固まらなかった
原因は4つ考えられます。
- 袋の底のシワに凝固剤がたまり、全体に行き渡らなかった
- 量が足りなかった
- 大便だけで水分が少なく、凝固剤が働かなかった
- トイレットペーパーを先に入れてしまい、紙が水分を吸ってしまった
底を平らにならしてから凝固剤を入れる、用を足したあとに袋を軽くゆすって広げる、規定量を守る、紙は最後に入れる。この4点で解決します。水分が少ないときは、使える水があれば浸る程度に少量加えてから凝固剤をふりかけてみてください。固まりきらない場合は、追加でふりかけて構いません。
失敗5:作ったのに数が足りなかった
必要回数を計算せず、1セットだけ用意して不足するケースがあります。
4人家族の7日分なら140回分が必要でした。もう一度、早見表で自分の家族の必要数を確かめてみてください。一度に揃えるのが難しければ、まず3日分(4人家族で60回分・約2,200円)から始めましょう。
備蓄は家族分をまとめて1か所に保管し、その場所を家族全員が知っている状態にしておきましょう。本人しか知らない備蓄は、本人が不在のときには存在しないのと同じです。
失敗6:いざ使おうとしたら材料が劣化していた
ポリ袋は長期保管で劣化することがあり、凝固剤にも使用期限があります。凝固剤は湿気と高温に弱く、保管状態が悪いと固まる力が落ちてしまいます。
高温多湿と直射日光を避けて保管し、年に1回は点検する日を決めておくとよいですよ。防災の日(9月1日)や、大きな災害があった日に合わせると忘れにくくなります。
保管場所は、押し入れの奥ではなく、玄関や寝室などすぐに取り出せる場所にしておきましょう。建物が傾いて奥の部屋に入れなくなる可能性もあります。
簡易トイレと一緒に備えたいもの
簡易トイレ本体だけでは、実際に使い切ることはできません。使う場面で必要になるものを、必要な理由とともに挙げます。どれも100均でほぼ揃うものです。
| 品目 | 必要な理由 | 目安量 |
|---|---|---|
| トイレットペーパー | 断水でも紙は必要 | 1人1週間で1ロール程度 |
| ライト | 停電時は手元が見えない | 1家庭に2〜3個+予備電池 |
| 使い捨て手袋 | 素手で処理しない | 処理回数と同じ枚数 |
| 除菌シート | 手を洗えないため | 1人1日数枚 |
| 目隠し用のポンチョ | 個室が使えない場合に備える | 1人1枚 |
トイレットペーパーは1人1週間で1ロールが目安
簡易トイレでもペーパーは必要です。1人あたり1週間で1ロール前後が目安で、4人家族の7日分なら4ロール、余裕を見て6ロールほど確保しておくと安心できます。
使用後の紙を袋に入れるぶん、袋の容量も使ってしまいます。必要数を計算するときは、少し余裕を見ておきましょう。
明かりは「両手が空くもの」を選びましょう
停電時、トイレや設置場所は真っ暗になります。袋をセットする作業には手元の明かりが必要ですが、片手にライトを持っていると作業ができません。
ヘッドライトや、置いて使えるランタンタイプが向いています。100均では110円から手に入り、予備の電池も同じ店で揃いますよ。
使い捨て手袋・除菌シートは処理回数ぶん用意しましょう
手袋は使い捨てが原則です。処理をする回数と同じだけ必要になると考えてください。100枚入りで110円程度なので、多めに備えておいても負担にはなりません。
目隠しは1人1枚が基本
避難所や屋外で使う可能性を考えると、家族の人数分あると安心です。ポンチョは折りたたむと小さくなるため、防災リュックにも入れやすく、雨具としても使えます。
簡易トイレの作り方に関するよくある質問
100均のポリ袋は破れませんか?
厚手のものを選び、2枚重ねで使うと破損リスクを下げられます。破れる原因の多くは、薄手の袋を1枚だけで使っていることです。容器を使う場合は、角に緩衝材を当てるとさらに安心できます。
凝固剤の代わりに何が使えますか?
新聞紙、紙おむつ、ペットシーツなど家にあるもので代用できますが、必要な量が多くなり処理も手間が増えます。新聞紙なら1回につき5〜6枚を小さくたたんで重ねてください。備えとして揃えるなら、量の目安がはっきりしている凝固剤がおすすめです。
凝固剤は先に入れておくべきですか?
用を足す前に、袋の底へ入れておきましょう。排泄と同時に固まりはじめるうえ、音も和らぎます。ただし大便のときは先に入れた分だけでは足りないことがあるので、用を足したあとに液体が残っていれば追加でふりかけてくださいね。
水が復旧したら、使用済みの袋は流してもいいですか?
流さないでください。凝固剤は水を吸ってさらに膨らむため、排水管を詰まらせる原因になります。水が使えるようになっても、袋の口を縛って可燃ごみとして処分しましょう。
大便もできますか?
開口部の広さ、姿勢の安定、吸収量、紙を入れる余地の4条件を満たせば対応できます。便器を使う方法と据え置き型は対応しやすく、持ち歩き用は姿勢が保ちにくいぶん不向きです。
マンションでも使えますか?
マンションこそ必要です。排水管が壊れた状態で水を流すと、階下の部屋に被害が及ぶ可能性があります。管理組合から復旧の連絡があるまでは流さず、簡易トイレで対応してください。
作ったものはどのくらい保存できますか?
ポリ袋は長期保管で劣化することがあり、凝固剤にも使用期限があります。年に1回は点検し、期限が近いものは日常で使って入れ替えるとよいですよ。
何日分備えればいいですか?
経済産業省は1人あたり35回分(7日分)をすすめています。まずは3日分から始め、7日分を目標にする進め方で問題ありません。
まとめ:まずは3日分から、今日100均で3点だけ揃えよう
トイレの備えは、飲み水や食料にくらべて後回しにされがちです。しかし断水したとき、排泄だけは我慢することも、誰かに代わってもらうこともできません。必要なものは特別な防災グッズではなく、100均で買える3点だけです。完璧に揃えようとして動けなくなるより、まず3日分を買いに行くほうが、はるかに確実な備えになります。
この記事の要点を以下にまとめます。
- 簡易トイレは「容器・袋・吸収材」の3つでできており、100均のポリ袋・凝固剤・消臭袋があれば作れる
- 在宅避難では、自宅の便器にポリ袋を2枚かぶせる方法がいちばん安全で安い。新しく作る必要はない
- 袋を2枚使うのは、1枚目が便器や容器を守り、2枚目が排泄物を回収するため。1枚だけだと便器が汚れて使えなくなる
- 凝固剤は用を足す前に袋の底へ入れておき、足りなければあとから追加。トイレットペーパーは最後に入れる
- 必要な回数は「人数 × 1日5回 × 日数」で計算する。4人家族の7日分なら140回分、費用は約5,400円が目安
- 使ったあとは「固める・空気を抜いて密閉する・ふた付き容器で隔離する」の3ステップでにおいを抑える
- 水が復旧しても固まった中身は便器に流さない。袋ごと可燃ごみとして出す
- ごみの出し方は自治体によって違うため、備えるときに一緒に確かめておく
